歯内療法

 

歯の中には神経や血管が通っており、体の免疫が働くことによって、細菌やウイルス感染から身を守っています。

しかし、虫歯や歯周病等の原因により、痛みが強く出たり根の先に膿みが溜まる等の症状が起こります。歯内療法(根管治療等)の目的は大きく分けて二つあります。
一つは「根尖性歯周炎の予防と治療」、もう一つは「痛みの管理」です。この二つを達成するために、外すことができない考え方があります。

それは根尖性歯周炎の原因は細菌ということです。

歯の中は元々よほどに事情がない限り無菌状態です。歯を削る治療の刺激や、大きな虫歯による歯の内部への細菌進入により神経がダメージを受けます。感染を自己免疫で防ぎ切れない痛みが生じたり根の先に病気ができるのです。

 

これにより治療の際に注意すべきことは
非常に明確になります。

①歯の中に細菌を入れないようにする。
(無菌的処置)

②歯の中から可能な限り細菌を減らす
(バクテリアルリダクション)

③再び感染が広がらないように封鎖する
(根管充填、コア築造)

 

順を追って説明してきます。

 

 

 

 

 

 

 

①歯の中に細菌を入れないようにする。
(無菌的処置)

先ほどお伝えした通り、病気の原因は細菌です。歯の中に細菌が入れない配慮が、治療の全行程において必要になってきます。唾液や舌、吸ったり吐いたりする息の中に含まれる細菌を歯の中へ入れないために「ラバーダム」をするのは最も大切です。

・全ての器具は滅菌済

・歯根の中に入れる器具に関しては使い捨て

常に清潔な状態を保ち治療を行います。

 

 

②歯の中から可能な限り細菌を減らす
(バクテリアルリダクション)

細菌を入れない配慮したら、次は今いる細菌を「出来る限り減らす」段階に進みます。ファイルやリーマーといった針のような器具、超音波チップ等で、根の中にいる細菌を歯ごと削ります。もちろんニッケルチタン素材のよくしなる器具を使う場合も多いですが、あくまでも歯の中を掃除する選択肢の一つです。

最も大切なのは、何の器具・材料を使うかではなく、細菌の量をいかにして減らすかを考えることです

人間の体が複雑な構造をしているのと同様、歯の中の構造もとても複雑です。単純に見える根の管にも、幾つもの枝が存在しています。どんなに機材が進化をしたとしても、完全に根の中を掃除し切ることはできません。しかし、人間には免疫力があるため、免疫力>細菌感染力となれば、病気は回復傾向に向かいます。

 

 

 

③再び感染が広がらないように封鎖する
(根管充填、コア築造)

歯の中の細菌を出来る限り減らした後は、再び感染を起こさないように、根の中に防腐剤を詰めていきます。先ほどお伝えした通り、根の中の構造が複雑であるため、どうしても掃除できない部分が出てきます。そこに残った細菌が悪さをしないように、防腐剤で埋めてしまいます。一般的に用いられるガッタパーチャや、MTAセメント、バイオセラミック系の材料など、状況に応じて使い分けます

 

〜根管治療後は?〜

根管治療後は、すみやかに補綴物による感染のブロックが望ましいです。治療後の状況によって、「仮の蓋をする」「土台を作る」等唾液等からの一時的な感染防御を行います。

根管治療後は当院にて経過をフォローしつつかかりつけ歯科医院にて、補綴の準備を行います。

治療の経過を判断する一つの目安は「3ヶ月」です。治療経過が良好であれば、かかりつけ歯科医院での
補綴治療に移行します。

 

治療後の経過が芳しくない、または病気の改善しない場合は、歯内療法外科・抜歯等の選択肢も含めてご相談いたします。

 

治療の流れはこちら

 

参考文献:

1.石井宏 世界基準の臨床歯内療法 医歯薬出版
2.Kakehashi S, Stanley HR, Fitzgerald RJ. The effects of surgical exposures of dental pulps in germ-free and conventional laboratory rats. Oral Surg Oral Med Oral Pathol 1965;20:340–9.
3.AAE position statement on dental dams. 2010
4.Shuping GB, Ørstavik D, Sigurdsson A, Trope M. Reduction of Intracanal Bacteria Using Nickel-Titanium Rotary Instrumentation and Various Medications.J Endod. 2000 Dec;26(12):751-5.
5.Friedman, S. Prognosis of initial endodontic therapy. Endod Topics. 2002; 2: 59–88