歯性上顎洞炎

あなたのその鼻の症状、歯が原因かも?

患者さんに「歯の根の先の炎症が原因で、副鼻腔炎(蓄膿症)になっています。」とお伝えすると「え?」とびっくりされる方が多くいらっしゃいます。実は、奥歯の根の先は鼻の空間(上顎洞)に近接していて、根の先の病気が悪化した際に、鼻の病気を併発することがあります。これを「歯性上顎洞炎」と言います。(国や考え方の違いによって「歯性鼻副鼻腔炎」などと言ったりもします。)

私も耳鼻科の先生やかかりつけ歯科医院の先生から患者さんをご紹介いただくことがしばしばあります。

その中で、歯科医師の先生方からは「歯性上顎洞炎ってどうやって治療すればいいのか?」「口腔外科に紹介して抜いて貰えばいいのか?」などの質問をいただき、耳鼻咽喉科医の先生方からは「副鼻腔手術をしたいけど、先に歯の治療をしたほうがいいのか?」「歯科に紹介と言われてもどこに紹介すればいいのか?」などの質問をいただきます。

実はこの病気は、歯科医師にも耳鼻咽喉科医師にも明確なガイドラインがないとされています。AAEのポジションステートメント:Maxillary Sinusitis of Endodontic Originにおいて「診断基準や治療法が統一されておらず、治療を担当する科・施設・医師によって治療方針が異なる。」と示されています。

歯科における歯性上顎洞炎の治療方針は大きく分けて下記の3種類です。
1. 抜歯
2. 根管治療や歯内療法外科
3. 経過観察

歯性上顎洞炎を起こしている歯は「歯が痛い」「噛むと違和感」「ズキズキする」などの自覚症状が乏しい場合が多く、耳鼻科でCBCT撮影をしてはじめて病気が発見されるケースもあります。「病気の原因を除去する」という考えに準ずれば、抜歯という選択肢が最もシンプルな治療法ではあります。しかし、「どうしても歯を抜きたくない」「できれば歯を残したい」と希望される方もたくさんいらっしゃいます。
このような状況でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。
一緒に最適な治療法を探しましょう。

参考文献:
1. AAE Position Statement:Maxillary Sinusitis of Endodontic Origin