再根管治療 歯性上顎洞炎 症例

根の先の病気や虫歯が大きく保存不可能とされた歯、再根管治療で治癒に導いた症例

根の先の病気が大きくても病気が治る時がしばしばあります。

当患者さんは、左上奥歯が噛んだ時に違和感があったので、かかりつけの歯科医院に行ったところ、左上の第一大臼歯に大きな根の病気がありました。かかりつけの歯科医院で、何回か根の治療をしましたが、腫れは出たり引いたりを繰り返していました。「残すのが難しいので抜く方がいいかもしれません。」と伝えられましたが、なんとか残したいという希望があったので、根の治療を専門的に受けられる医院を探して来院されました。

 

患者さんのお話を聞いた後、お口の中の検査、X線検査およびCT検査を行いました。X線画像では左上の第一大臼歯の前側の根の先に、大きな病変が見られました。CT画像では上顎洞に及ぶ炎症が見られました。

根の先の病気が大きく鼻の領域まで炎症が波及していることに加え、歯が大きく失われており、せっかく治療しても歯がダメになる可能性も説明しましたが「先生、残すためにできる限りのことをしてください。それでダメなら諦めます。」とのことで、難しいながらも保存にチャレンジすることになりました。

虫歯をとり、歯茎を整え、失われた歯の一部を樹脂で補強した上でラバーダム防湿を行いました。治療回数2回、1回一時間半の治療を行なった結果、1か月後には全く腫れなくなったとの報告を聞くことが出来ました。かかりつけの歯科医師によりしっかりと被せ物がされました。

術後1年後の経過観察で、「ちゃんと治っているかどうか確認したい」との希望もあり、CT撮影を行いました。根の先の病気が無事に治癒傾向を示しているのが確認できます。

患者さんからは「残してくださってありがとうございます!しっかり磨きます!」と嬉しいお言葉をいただきました。

まだ完全治癒とは言えないので、引き続き患者さんと一緒に経過観察をしていきます。

どんな状況においても、その歯が本当に抜かなければいけないのかどうか、十分吟味する必要があります。

もちろん、大きく割れていたり、虫歯が大きくて保存することが出来ない場合もあります。抜歯をしてブリッジやインプラントという方法も確かにありますが、安易に歯を抜くという選択は、歯を残せるかもしれないチャンスを失ってしまうことになります。

患者さんの悩みに寄り添いながら、当院ではこのような厳しい症例と引き続き向き合い続けていきます。

※これらすべてのX線写真やCT画像は、このような歯の保存治療の普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。