外科的歯内療法 歯性上顎洞炎 症例

歯性上顎洞炎に対して外科的歯内療法で対応した症例

歯の病気が原因で、鼻の病気になることがしばしばあります。

当患者さんは、根の先の病気が原因で鼻の病気が悪化していた方です。

 

患者さんは、以前通われていたかかりつけ歯科医院で左上の第一大臼歯の根の治療を受けた後、噛んで違和感等がありましたが、日常生活に支障があるほどでもなかったので、そのまま様子を見ていました。数ヶ月ほどして鼻づまり及び変な匂いがしてきたので、耳鼻科を受診しました。耳鼻科の先生から「歯が原因である可能性があるから、かかりつけの歯科医院で治療を受けてください」と言われて、かかりつけの歯科医院に行ったところ「歯が原因で鼻の病気になっている可能性があるので、後ろの歯を2本抜きましょう」と告げられました。患者さんは、どうしても自分の歯を残したいとの思いから、根の治療を専門的に受けられる医院を探してこられました。

患者さんのお話を聞いた後、お口の中の検査、X線検査およびCT検査を行いました。X線画像では左上の第一大臼歯の後ろの根の先に歯科材料が漏れているのが確認できます。この材料が副鼻腔炎の原因である可能性が疑われました。またCT検査では前の根の先には病気、未処置の根の管があるだけでなく、歯の髄床底と呼ばれる部分に穴があいている可能性が見受けられました。こうなると治療の成功率が低くなってしまい抜歯になる可能性が高いことついて、ご説明しました。その上で患者さんからは「なんとかこの歯を残して噛めるようにして欲しい!」とのご要望がありました。歯科治療を行う前にCTを見ながら耳鼻科の先生と綿密に話し合いを行い、歯からのアプローチで治らない場合は鼻からのアプローチ(内視鏡下副鼻腔手術)を行うことを患者さんにお話しした上で根の治療を開始しました。

左上第一大臼歯治療方針としましては、以下の流れで施術することをご説明しました。
①再根管治療を行う。(治療回数2回)
②治癒しない場合、外科的歯内療法(歯根端切除術)を行う。(治療回数1回)
③それでも治癒しない場合は抜歯を行う

ラバーダム防湿を行い、細菌を歯の中に入れないように再根管治療を行いました。結果、治癒経過が芳しくなく、外科的歯内療法(歯根端切除術)にて病気の原因を直接除去することになりました。そして歯根端切除術後2週間程度で鼻の症状がある程度改善したとのお話を聞くことが出来ました。治癒を待っている間に前後の歯の再治療も行い、仮歯で3ヶ月後様子を見たのち、CT撮影を行いました。

根の先の病気と鼻の病気が無事に治癒傾向を示しているのが確認できます。

最終の被せ物を入れ、術後2年後のX線画像でも問題なく経過しております。

患者さんからは「抜いた方がいいと言われていたので、自分の歯が残せて噛むことができるようになって本当に良かった!」と嬉しいお言葉をいただきました。

どんな状況においても、その歯が本当に抜かなければいけないのかどうか、十分吟味する必要があります。

もちろん、大きく割れていたり、虫歯が大きくて保存することが出来ない場合もあります。抜歯をしてブリッジやインプラントという方法も確かにありますが、安易に歯を抜くという選択は、歯を残せるかもしれないチャンスを失ってしまうことになります。

患者さんの悩みに寄り添いながら、当院ではこのような厳しい症例と引き続き向き合い続けていきます。

※これらすべてのX線写真やCT画像は、このような歯の保存治療の普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。