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アメリカ歯内療法学会2021 オンライン開催

  • 院長ブログ

昨今のご時世では、様々な勉強会やセミナーがオンラインで開催されております。歯科においても例外ではありません。私が所属するアメリカ歯内療法学会も、4月末にオンラインでの開催になりました。歯内療法における各分野のスペシャリストが、連日Web上でご講演されていました。勉強するという点においてリアルに勝るものはありませんが、オンラインでの学会にはリアルでの学会にない大きなメリットがいくつかありました。

まずは、移動費がかからないこと。リアルの学会に参加するとなると飛行機での移動費や現地のホテルでの宿泊費、それに滞在費などを合わせるとトータル何十万円もかかります。しかしオンライン開催であれば、実際に現地に行かないと聞けないような最新の知見が、家や診療所にいながら聴講することができます。

次に、録画を聴講できるため時間の制約がないこと。開催国であるアメリカと日本では大きな時差があります。そのため、興味のある講演をリアルタイムで聴講しようとすると夜中の2〜4時になるため、勉強の効率がとても悪くなってしまいます。しかし、今回のオンライン学会においては講演の振り返り聴講ができたため、自分の集中力が高い時間にピンポイントで勉強することが可能でした。

最後に、英語を聞き漏らしてもその場ですぐに聴き直せることです。講演は演者の用意したスライドがあるので、ほとんどの内容は理解することができます。ですが、質疑応答や深い思考を述べる際に発せらる英語は、一度聞き漏らしてしまうと「今なんて言いました?」となり、結局理解できないまま過ぎ去ってしまいます。リアルの学会であれば、その場での問題解決を諦めて、「できる範囲で理解しよう」となりますが、オンラインの録画聴講でしたら、聞き漏らした内容についてもその場ですぐに巻き戻して確認することができました。

今回の学会では、外科的歯内療法関連のテクニックとそれを実行するのに必要な知識や機材のアップデートが何種類かありました。ペンシルバニア大学のDr.KimによるPiezotomeとMicro-sawを用いた「Bone Window Tech.」や、Dr. Jarom Rayによる3D-printed surgical guideとtrephine burを用いた「Targeted Endodontic Microsurgery」については、適応症や材料や使用器具も加味した利点欠点について把握でき、臨床ケースや論文をまとめて確認することができました。

当然ですが長期の結果が出るまで、このような新しい手法や材料については「本当にそれは安全か?」「本当にその材料の使用や考え方は正しいのか?」と常に注意深く状況を追っていく必要性があります。あと何年か経ち、より安全で確実な方法が確立されてくれば、治療の難しい病気で困っている多くの患者さんを助けることができるようになるかもしれません。

目の前の患者さんの悩みを解決するためには、できるだけ多くの引き出しを持つ必要があります。そのためには古いやり方に固執せずに新しい手法を取り入れることも大切です。一方で、基本的なコンセプトは昔から何も変わっていません。「病気の原因を取り除く」というもっともシンプルかつ不変的なテーマを決してないがしろにすることなく、日々の治療をレベルアップさせていきます。

 

参考文献

1. Jarom J. Ray, C. Michelle Giacomino, James A. Wealleans, Ryan R. Sheridan. Targeted Endodontic Microsurgery: Digital Workflow Options . J Endod 2020;46:863–871. 

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