歯内療法

CBCT撮影の有用性と被曝の考え方

俗に、歯内療法の世界での三種の神器と言われている機材があります。
「マイクロスコープ」「CBCT」「ニッケルチタンファイル」です。
これらは現代の歯内療法にとって欠かすことのできないものになりました。

中でもCBCTは、術前の診断に大きく影響を与え、治療方針にも大きく寄与します。

日本では1990年代後半から、新井嘉則先生主導のもとCBCTの研究を開始し、撮影領域を小さくすることで高画質と低被曝を両立する歯科用CBCTの開発されました。2000年には歯科用CBCTが薬事承認を経て普及が開始され、2012年には国民皆保険に導入され、広く利用されるに至りました。2016年には累計で約1万台の歯科用CBCTが稼働し、年間22万回前後の検査が実施されていると推定されています。おそらく今はもっと増えているでしょう。

また歯内療法領域においては、Patelらが2007年の論文の中で、「デンタルX線画像での検査は歯内療法の診断において不可欠なものであるとした上で、CBCTは今まで解決できなかった問題を安全な方法でクリアし、時には歯内治療の結果を変える可能性がある」としています。

私自身も、日常臨床においてCBCT撮影をすることがあります。
治療前に撮影することで、
「どのように根管にアクセスするか」
「見逃している根管はないか」
「外科になった場合はどの方法を選択するか」
「治療の際にリスクになる要素はないか」
などなど様々な情報が得られるため、非常に有用であると感じています。

しかし、通常のデンタルX線撮影に比べ、大きく被曝させてしまうことは忘れてはいけません。AAE(米国歯内療法学会)とAAOMR(米国歯科放射線学会)が歯内療法におけるCBCTの使用法にについて合同声明を出しています。大まかな内容としては
・検査の利益が被曝のリスクを上回っている場合や、従来のエックス線画像にて診断が困難である場合にCBCT撮影を行うこと
・CBCTによる撮影がルーティーンで行われてはいけない
・CBCTはあくまでも歯科の画像診断における補助的なものである
などのことが述べられています。

CBCTが病変の検出において有益であるからといって、日常的に診断やスクリーニング目的に使用すべきではなく、本当に必要な状況にのみ使用されるべきということを肝に命じたいと思います。

参考文献:

1. 歯科用コーンビーム CTの臨床利用指針 NPO法人日本歯科放射線学会 診療ガイドライン委員会

2. Patel S, Dawood A, Pitt Ford T, et al. The potential applications of cone beam computed tomography in the management of endodontic problems. Int Endod J 2007;40:818–30. 

3. American Association of Endodontists; American Academy of Oral and Maxillofacial Radiology. Use of cone beam-computed tomography in endodontics 2015 update.