- 再根管治療
- 歯根端切除術
再根管治療を受けている歯がズキズキしている。歯根端切除術と再根管治療を行なった症例。
通院時の年齢 | 28歳 |
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性別 | 女性 |
通院回数 | 4回(初診+歯根端切除術+抜糸+再根管治療) |
通院目的 | 治療中の歯が痛い。なんとかして欲しい。 |
処置内容 | 歯根端切除術+再根管治療+支台築造 |
費用 | 165,000円+77,000円+22,000円(※治療当時の費用になります。) |
備考 | 自発痛と打診痛あり。すでに複数回再根管治療が行われている。歯質が薄い。 |
治療方針を決める際には、基本的には根管治療を先に行って歯の中の状況を改善して、それでも治癒しない場合に外科処置を行います。
しかし、すでに根管治療がやり尽くされて歯が薄くなっているような場合、先に外科処置を行なって症状が改善するのを確認してから根管治療を行うケースもあります。
治療の適切なタイミングを見極めて、患者さんにとって費用対効果がよく、ご納得いただけるような方法をご相談の上、治療方針を決定していきます。
今回は、左側上顎第2小臼歯の歯根端切除術を先に行い、その後再根管治療を行なった症例をご紹介したいと思います。
初診時
患者さんは「他院で治療を受けている歯がズキズキして痛い。」を主訴に来院されました。
左上5の根管治療がされており、歯周ポケットはありませんでしたが、強い自発痛と打診痛がありました。
デンタルX線とCT撮影をしてみると、根尖病変があり根尖部に穿孔が疑われました。
すでに複数回再根管治療が行われているにもかかわらず状況が改善していないことや、歯牙が薄くなっていることから、この歯に対して再根管治療を行なっても、高い成功率が望めないと考えられました。
それを踏まえた上で
①経過観察
②抜歯
③歯根端切除術→再根管治療
④再根管治療→歯根端切除術
などの治療方針について、メリットデメリットをご説明したところ、③の歯根端切除術→再根管治療をご希望されました。
患者さんは「とても痛いです。ちゃんと咬めるようになりたいです。お願いします。」とおっしゃられ、次回より治療を進めることになりました。
治療1回目(歯根端切除術)
浸潤麻酔をしてから、歯肉を切開剥離し、根尖部の病変の除去を行いました。
根の先の染め出しを行い、破折線や汚染部位・穿孔部の確認したのち、逆根管形成および逆根管充填(MTAセメント)を行い縫合しました。
抜糸
来院時には、ズキズキした痛みは改善していました。
抜糸を行い、次回再根管治療を進めていく旨をご説明いたしました。
治療2回目(再根管治療)
麻酔を行い、ラバーダム防湿をし、仮封材を除去、根管内を形成・洗浄していきました。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液とEDTAを用いて根管内を最終洗浄し、根管充填を行い、ファイバーポストとレジンにて支台築造を行いました。
術後のX線撮影を行い、今後病変がどうなっていくかを患者さんと一緒に見ていく旨をお伝えし、治療を終了しました。
経過観察(術後1年)
術後3ヶ月の時点で臨床症状はなくなっていたため、最終補綴へ移行いたしました。
術後1年の経過観察でも、臨床症状は無く問題なく経過しておりました。
患者さんからは「治療するまではめっちゃ激痛でしたですが、今は何にも痛くないです。ありがとうございました!」とのお言葉をいただきました。
歯質が薄いため、このままずっと問題なく行けるかはわかりませんが、現時点では痛みなく過ごせていること大変嬉しく思います。
これからも、抜歯したくない・なんとか歯を残したいと願う患者さんのために日々精進してまいります。
※これらすべてのX線写真やCT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。