- 意図的再植術
- 歯性上顎洞炎
噛むとズーンとして、歯が浮いているような感じがする。歯性上顎洞炎を併発。意図的再植術で治癒した症例。
通院時の年齢 | 35歳 |
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性別 | 女性 |
通院回数 | 4回(初診+意図的再植術+固定チェック1+固定チェック2) |
通院目的 | 噛むとズーンとする。浮いている感じがする。 |
処置内容 | 意図的再植術 |
費用 | 187,000円(※治療当時の費用になります。) |
備考 | 歯性上顎洞炎が併発。分岐部まで病変が波及している。 |
根の先の病気が根管治療で治らなかった場合、外科処置(歯根端切除術・意図的再植術)が必要になるケースがあります。
「再根管治療しても成功率が低く、治癒してくれるかわからない。」「再治療することで歯を削りすぎてしまう。」などの理由により外科処置の優先順位が高くなることもしばしば起こります。
今回は、上顎第二大臼歯の根尖病変が原因の歯性上顎洞炎を、意図的再植術により治癒に導いた症例をご紹介いたします。
初診時
患者さんは、他院にて2年前に左上の奥歯の再根管治療を自費で受けていましたが、病気が治らず担当の歯科医師から「しばらく様子をみましょう。治らなければ外科治療が必要です。」と伝えられていました。
その後引っ越しでそこの医院に通えなくなっていましたが、ズキズキした痛みが出てきたため、色々お探しになられ当院へと来院されました。
「噛むとズーンとする。」「歯が浮いたような症状がある。」との自覚症状があり、歯に動揺があり、打診痛がありました。
CT上では根尖病変および分岐部病変が確認でき、歯性上顎洞炎を併発している状態でした。
治療方針として
①経過観察
②抜歯
③意図的再植術
をご提案したところ、治療方針の③の再意図的再植術をご希望されました。
痛みが強かったため、仮着されていた仮歯を除去し、歯の周辺の洗浄、および投薬(痛み止めと抗生物質)を行い、次回より治療を進めていくことになりました。
治療(意図的再植術)
まずは麻酔を効かせた上で、鉗子にて歯をゆっくりと脱臼させてから抜歯しました。
無事に歯を割らずに抜歯した後は、骨の中にある肉芽組織を取り除きました。
ある程度、除去すると上顎洞と交通し、口の中から上顎洞内が見ることができました。
根の周りに破折などのトラブルがないかどうかを確認し、根尖を切断して逆側から感染部分を染め出しました。
青く染まった感染部分を除去し、MTAセメントで逆根管充填を行い、歯を抜いた場所に戻し、固定を行いました。
デンタルX線写真で歯の状態を確認し、問題ないと判断して、その日の治療は終了しました。
固定チェック1(術後1週間)
1週間後に固定状況の確認のためにご来院いただいた際には、まだ歯は揺れていましたが問題ないと判断し、まずは術後1ヶ月での経過観察を行うことにしました。
固定チェック2(術後1ヶ月)
1ヶ月後の経過観察時には、歯の揺れもほぼなく問題ないと判断し、引き続き経過観察を行なっていくことになりました。
経過観察(意図的再植術後1年)
術後6ヶ月の時点で、臨床症状もなく病変も縮小傾向を示していたため、最終補綴へ移行していただきました。
術後1年での経過観察では臨床症状もなく、CT画像上で病変の治癒が確認できました。
上顎洞に波及していた病変も改善し、分岐部の骨も無事に再生いたしました。
患者さんからは「抜いた歯が、またちゃんと咬めるようになって嬉しいです。ありがとうございます。」とのお言葉をいただきました。
術前の痛みも強く、病変も大きかったため、どこまで治癒するか心配していましたが、無事に回復して一安心です。
引き続き、抜歯したくない・なんとか歯を残したいと願う患者さんのために日々精進してまいります。
※これらすべてのX線写真やCT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。