CASE

症例紹介

  • 再根管治療
  • 意図的再植術

根の先の病気が大きいため、ブリッジを外して抜歯してインプラントをした方が良いかもしれない・・・。意図的再植術と再根管治療にて治癒した症例。

通院時の年齢 58歳
性別 女性
通院回数 6回(初診+意図的再植術+抜糸+経過観察+再根管治療+根管充填)
通院目的 右下のブリッジを外して抜歯しインプラントをする前に、歯を残せないか相談希望。
処置内容 右下7意図的再植術+右下6意図的再植術(小臼歯扱い)+右下6再根管治療(小臼歯扱い)+支台築造
費用 187,000円+165,000円+77,000円+22,000円
備考 右下7の病変が下歯槽管に及んでいる。

根の先の病気、溶けた骨は根管治療を行うことで治癒することがありますが、根管治療をしたが治癒しない・物理的に再根管治療が難しいような場合は、外科治療の適応になります。
通常、外科処置は歯根端切除術にて対応することが望ましいのですが、破折が疑われるケース・歯根端切除術が位置的に難しいケースなどに関しては、意図的再植術が優先される場合もあります。
今回は、右下顎第一大臼歯(近心根)と第二大臼歯の意図的再植術を行なった症例をご紹介したいと思います。

 

初診時

患者さんは「右下の歯が痛い。ズーンとした重い痛みがあって咬めない」を主訴にかかりつけの歯科に来院されました。
根の先の病気が大きく、主治医から「抜歯してインプラントの選択の方がいいかもしれませんが、一度専門的に根の治療をしている先生のところで相談してみるのはいかがでしょうか?」と提案を受け、当院へとご紹介されました。

口腔内診査を行なったところ、右下7と右下6(近心根)では、歯周ポケットはなく、Brになっているため正確にはわかりませんが打診痛はありましたが、動揺は確認できませんでした。

デンタルX線とCT撮影をしてみると、右下67共に根尖病変が確認でき、特に右下7は下歯槽管に及ぶ大きな病変が確認されました。
再根管治療の既往歴、解剖学的な再治療の難易度、治療回数、破折診断の有無及び確実性、術後の歯冠歯根比、成功率、再治療可能性etc…を踏まえ、右下56(近心根)7のそれぞれの歯の治療方針について

①経過観察
②抜歯
③再根管治療→歯根端切除術or意図的再植術
④歯根端切除術or意図的再植術→再根管治療
⑤歯根端切除or意図的再植のみ
などのメリットデメリットをご説明したところ、

 

右下5(病変なし)
①経過観察(主治医のもとで再根管治療および支台築造)

 

右下6(近心根)
④意図的再植術(→再根管治療)

 

右下7(病変大)
⑤意図的再植術

 

をご希望されました。
右下6の再根管治療に関しては、意図的再植術後にまた改めて相談することになりました。
治療を進めていく中で、破折が確認できた場合は、抜歯になることも十分にご理解をいただいた上で、次回より治療を進めることになりました。

 

治療1回目(右下67意図的再植術)

まず十分に麻酔を行い、奏効いているのを確認してから、右下567ブリッジを除去していきました。
Br除去の際に右下56は金属の土台ごと外れてきたため、右下56のカリエス除去及びベースセメントによる仮封を行いました。
次に、右下7を鉗子にて抜歯しました。
骨窩洞内の肉芽組織を除去し、根尖部を切断、切断面をメチレンブルーにて染め出しました。
髄床底に髄管と思われる部分があったため、そこも含め感染している部分を除去し、染め出しを行いながら問題ないと判断した時点でMTAセメントを充填し、元の位置に再植いたしました。
続いて、右下6を鉗子にて抜歯し、骨窩洞内の感染した組織の除去を行いました。
歯冠歯根比を考慮し、根尖は最小限の切断にとどめ、染め出し、逆根管形成、MTAセメントによる逆根管充填を行い、再植し、縫合しました。
右側で噛まないようにお伝えし、この日の治療は終了しました。

 

治療2回目(抜糸)

2回目来院時には少しの揺れはあるものの症状はなくなっていました。
抜糸を行い、引き続き経過観察をする旨をお伝えしました。

治療3回目(術後1ヶ月)

特に痛みもなく経過をしていました。
右下6が無事に経過していることを踏まえ、当院にて再根管治療を進めていくことをご希望されたので、次回、再根管治療を行うことになりました。

 

治療4回目(右下6再根管治療)

麻酔を行い、ラバーダム防湿を行い、仮封材を除去、根管内を形成・洗浄していきました。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液とEDTAを用いて根管内を洗浄し、水酸化カルシウムの貼薬を行いました。

 

治療5回目(右下6根管充填+支台築造)

麻酔を行い、ラバーダム防湿を行い、仮封材を除去、根管内を形成・洗浄していきました。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液とEDTAを用いて根管内を最終洗浄し、ファイバーポストとレジンにて支台築造を行いました。術後のX線撮影を行い、今後病変がどうなっていくかを患者さんと一緒に見ていく旨をお伝えし、治療を終了しました。

 

経過観察(術後1年)

術後3ヶ月で問題なく経過していたため、かかりつけ歯科にて仮歯へ移行していただきました。
術後1年経過観察時に撮影したCT像で、術前にあった病変は治癒しておりました。

 

患者さんは「あきらめずに治療をお願いしてよかったです!少しでも長く保つように大事にします!」とのお言葉をいただきました。
抜歯してインプラントと言われていたところから、無事に自分の歯で咬んで食べられるところまで回復したことをとても嬉しく思います。
治療を頑張ってくださった患者さんに改めて感謝です。
引き続き、抜歯したくない・なんとか歯を残したいと願う患者さんのために日々精進してまいります。

※これらすべてのX線写真やCT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。

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