CASE

症例紹介

  • 根管治療 歯性上顎洞炎 症例

歯が原因で副鼻腔炎になっている。臭いから何とかして欲しいけど抜きたくない。

通院時の年齢 69歳
性別 男性
通院回数 3回
通院目的 耳鼻科に紹介してもらった。膿の原因が歯であるなら治してほしい。
処置内容 根管治療+支台築造
費用 143,000円+22,000円
備考 歯性上顎洞炎。鼻症状あり。

初診時

患者さんは喉の奥に臭い膿が落ちてくるのが気になり、近隣の耳鼻科を受診しました。耳鼻科にて鼻内内視鏡検査や頭部CBCT撮影が行われました。その際に担当のDr.から「歯が原因で膿が出ているから、歯医者さんで見てもらってください。」との診断を受け、耳鼻科の先生からの紹介状を持って来院されました。歯が原因で鼻の病気になることなど思いもしなかったとのことで、カウンセリング時はびっくりされていました。以前から体調が悪い時に鼻が詰まることはありましたが、今回のように寝ている間ずっと喉の方に膿が降りてきて、朝起きるとイガイガするという症状は初めてとのことでした。

根管治療 歯性上顎洞炎 術前X線レントゲン画像

 

術前に口腔内診査を行いましたが、右上6遠心の歯茎の検査を行った際に器具が奥深くまで入って行き、大量の膿が出てきました。冷温痛・電気歯髄診を診査を行うと、反応がなく中の神経が既に死んでしまっている疑いがありました。デンタルX線画像では遠心根尖に病変が見られ、耳鼻科からいただいたCTを確認すると、口腔内の歯周ポケットから上顎洞までがつながっている画像所見でした。

根管治療 歯性上顎洞炎 耳鼻科CT

もともと全顎的な歯周病に罹患しており、さらに「根の先の病気(根尖性歯周炎)」と「上顎洞炎」が合併しまっていることから予後が悪く、また垂直的に骨が失われていることから、歯自体が破折している可能性も考えられました。患者さんに状況をご説明したところ、「抜くのは最後の手段だから、治療ができるならできることは全部してほしい」との要望があったため、根管治療を行うことになりました。

 

治療1回目

根管治療 歯性上顎洞炎 亀裂

 

歯の表面には多数の亀裂が見られ、ここからの漏洩が疑われました。まず麻酔を十分に効かせてから、虫歯を取り除きました。ラバーダム防湿および過酸化水素水とヨードにて歯の消毒を行ったのちに、歯の感染部分を除去していきました。器材が歯髄に到達した段階で強烈な腐敗臭がしました。次亜塩素酸ナトリウム水溶液で洗浄しつつ、マイクロスコープで歯の中を見ていくと、幸いにも見える範囲では亀裂による感染は取り除くことができ、根の先に至るような亀裂は確認できませんでした。歯の中をニッケルチタンファイルで拡大形成したのち、水酸化カルシウムを根管内に投与し、仮の蓋をして1回目は終了しました。

 

治療2回目

2回目でも鼻の症状は改善していませんでした。再びラバーダム防湿を行い仮の蓋を外し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液とEDTAにて根管内を満たして、超音波にて薬液を根管の隅々まで撹拌しながら洗浄を行いました。根管充填にて根管内のスペースを埋め、コア用レジンとファイバーポストにより土台を作製して、再感染が起こりにくい環境を作りました。術後のデンタルX線撮影を行い、患者さんと共に経過を見ていくことをお伝えし治療を終了しました。

根管治療 歯性上顎洞炎 術前術後X線レントゲン画像

 

経過観察(術後6ヶ月・1年8ヶ月)

根管治療 歯性上顎洞炎 術前CT

術後6ヶ月が過ぎても鼻症状はまだありました。CT撮影を行うと病変の縮小傾向は見られるものの依然として上顎洞炎はありました。

根管治療 歯性上顎洞炎 補綴後X線レントゲン画像

患者さんの希望もあり最終補綴に移行してもらうことになり、担当するDrにより被せ物が行われた状態で経過観察を行っておりました。もしかしたら抜歯になる可能性もお伝えしながら、耳鼻科の先生と連携を取りつつ経過を追っていきました。

 

治療してから1年8ヶ月経過した段階で、連携先の耳鼻科の先生から「内視鏡で確認したところ上顎洞からの排膿はなく綺麗になっていました。」とのご報告を受けました。患者さんの鼻症状が改善しており、遠心のポケットも以前よりも浅くなっていました。現状を詳細に確認したいとの希望もあり、相談の上歯科用CBCT撮影を行いました。まだ遠心にポケットや分岐部の病変あるものの、根尖病変は治癒を示し、上顎洞炎の改善も見られました。

根管治療 歯性上顎洞炎 術後CT

「もう抜かなくちゃいけないかもしれないと覚悟していましたが、歯を残すことができてとても嬉しいです!」と喜んでいただけました。患者さんの免疫力による治癒の素晴らしさを改めて感じることができました。

大きく骨が失われていた部分も患者さんご自身の免疫力が正常に働く環境を整えてあげれば、この症例のように治癒していくこともあります。同じような状況でお悩みの方は、遠慮なくご相談ください。

可能な限り患者さんのご希望に添えるように、これからも最善を尽くして参ります。

※これらすべてのX線写真やCT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。

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