- 再根管治療
- 歯性上顎洞炎
- 歯根端切除術
治療を受けている歯の歯茎が腫れて痛い。歯根端切除術と再根管治療を行った症例。
通院時の年齢 | 40歳 |
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性別 | 女性 |
通院回数 | 4回(初診+歯根端切除術+抜糸+再根管治療) |
通院目的 | 治療受けていた歯の歯茎が腫れて痛い。 |
処置内容 | 歯根端切除術+再根管治療+支台築造 |
費用 | 165,000円+77,000円+22,000円(※治療当時の費用になります。) |
備考 | 歯性上顎洞炎を併発している。 |
治療方針を決める際には、基本的には根管治療を先に行って歯の中の状況を改善して、それでも治癒しない場合に外科処置を行います。
しかし、歯の解剖学的問題や材料の溢出などにより、再根管治療での治癒が難しいケースでは、先に外科処置を行なって症状が改善するのを確認してから根管治療を行うケースもあります。
治療の適切なタイミングを見極めて、患者さんにとって費用対効果がよく、ご納得いただけるような方法をご相談の上、治療方針を決定していきます。
今回は、右側上顎第2小臼歯の歯根端切除術を先に行い、その後再根管治療を行なった症例をご紹介したいと思います。
初診時
患者さんは「他院で治療を受けている右上奥歯の歯茎が腫れていて痛い。なんとかして欲しい。」を主訴に来院されました。
診査では、右上5の根管治療がされており、歯周ポケットはありませんでしたが、打診痛や圧痛がありました。
デンタルX線とCT撮影をしてみると、根尖病変が上顎洞と交通しており、歯性上顎洞炎のであることが確認できました。
すでに複数回再根管治療が行われているにもかかわらず、状況が改善していないことや、サイナストラクトや上顎洞への交通が確認でき、材料の溢出の可能性もあることから、この歯に対して再根管治療を行なっても、高い成功率が望めないと考えられました。
それを踏まえた上で
①経過観察
②抜歯
③歯根端切除術→再根管治療
④再根管治療→歯根端切除術
などの治療方針について、メリットデメリットをご説明したところ、③の歯根端切除術→再根管治療をご希望されました。
患者さんは「なんとか痛みが取れて噛めるようになりたいです。よろしくお願いします。」とおっしゃられ、次回より治療を進めることになりました。
治療1回目(歯根端切除術)
浸潤麻酔をしてから、歯肉を切開剥離し、根尖部の病変の除去を行いました。
上顎洞と病変が交通していたため、必要以上に損傷を加えないように慎重に肉芽組織を除去しました。
根の先の染め出しを行い、破折線や汚染部位・側枝の有無を確認したのち、逆根管形成および逆根管充填(MTAセメント)を行い縫合しました。
抜糸
来院時には、元々あった痛みも大分改善していました。
抜糸を行い、次回再根管治療を進めていく旨をご説明いたしました。
治療2回目(再根管治療)
麻酔を行い、ラバーダム防湿をし、仮封材を除去、根管内を形成・洗浄していきました。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液とEDTAを用いて根管内を最終洗浄し、ファイバーポストとレジンにて支台築造を行いました。
術後のX線撮影を行い、今後病変がどうなっていくかを患者さんと一緒に見ていく旨をお伝えし、治療を終了しました。
経過観察(術後1年)
術後1年で、臨床症状は無く病変の治癒が見られました。
患者さんからは「治療する前はすごく痛かったですが、今は痛くないです。ありがとうございます。」とのお言葉をいただきました。
歯性上顎洞炎が併発していましたが、無事に治ってくれてホッとしております。
これからも、抜歯したくない・なんとか歯を残したいと願う患者さんのために日々精進してまいります。
※これらすべてのX線写真やCT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。