CASE

症例紹介

  • 歯根端切除術

前歯の歯根端切除術を行なったが、また腫れてきた。なんとか残したい。

通院時の年齢 52歳
性別 女性
通院回数 3回(初診+歯根端切除術+抜糸)
通院目的 歯根端切除術を受けた前歯が腫れている。抜歯せずに治せないか。
処置内容 右上1歯根端切除術、右上2再歯根端切除術
費用 286,000円(143,000×2)
備考 右上1も病変に関与している可能性があったため、2本同時に手術することになった。

歯の根の構造は大変複雑であるため根管治療だけでは病変が治癒せず、歯根端切除術や意図的再植術といった外科的歯内療法が必要になるケースがしばしばあります。
正確な診査診断、世界基準に準じた治療方法、適切な器具や材料の選択によって行われる外科治療の成功率は90%程度になり、抜歯を回避するための有力な手段になり得ます。
今回は、一度歯根端切除術を受けたものの病気が治らず、抜歯と言われたがなんとか歯を残したいという希望を持って来院された患者さんをご紹介します。
*当症例には手術の写真が含まれるため、苦手な方は閲覧にご注意ください。

初診時

患者さんは4年ほど前に他院にて右上2の歯根端切除術を受けましたが、違和感がとれず、腫れることを主訴に来院されました。
前病院では、「根の先に病気がありますが、太い土台が入っているため再根管治療は難しい。歯根端切除術をしてみましょう。」と言われて、手術を受けたものの違和感が消えずにいました。
ご自身でいろいろお調べになって、手術を行った病院に確認したところ、根尖の切断はしましたが逆根管充填はされていないとのことでした。
デンタルX線とCT画像からは根の先が既に切断されていることや、根尖部の透過像が確認できました。
また右上12の両方が病変に関与している可能性があり、場合によっては右上1の外科処置も必要になる可能性についてお伝えしました。
患者さんと相談の結果、「抜歯は避けたいです。治る可能性があるなら治療をお願いします。」とご決断され、右上12の両方の歯根端切除術を行うことになりました。

 

 

治療(右上1歯根端切除術・右上2再歯根端切除術

痛みと出血のコントロールのために十分な浸潤麻酔を行い、歯肉を切開剥離していきました。
根尖をバーで切断し肉芽組織を除去したのち、切断面を染め出して確認したところ、歯科材料の周りに青く染まった感染部分が確認できました。
感染が起こっている材料を超音波チップ等を用いて除去し、骨窩洞や根管内が綺麗になったのを確認した後、MTAセメントにて逆根管充填を行い、歯肉を元の位置に戻して縫合しました。

 

術後のX線が画像では緊密に逆根管充填ができているのが確認できます。

 

抗生物質と痛み止めをお出しし、術後の経過を患者さんと一緒に見ていくことをお伝えし、治療を終了しました。

 

 

 

抜糸(術後1週間)
一週間後に抜糸のためにご来院いただいた際に術後の状況をお聞きすると、「2日ほど腫れた感じはありましたが、それほど痛みはありませんでした。ありがとうございます。」とのことでした。

病変経過を患者さんと共に追っていく旨をご説明し、経過観察へ移行しました。

 

経過観察(術後1年)

患者さんは、術後3ヶ月頃にはほとんど違和感なく過ごせておりました。
術後1年の時点では、デンタルX線画像でもCT画像でも病変の治癒傾向が確認できました。

 

患者さんから「一度手術した歯はもうダメかと思っていました。ありがとうございます!」とのお言葉をいただきました。
まだ、完治とは言えませんので、引き続き経過を追っていこうと思います。

一度外科的歯内療法を行った歯であっても、再度外科的歯内療法をすることで治癒させることができる場合もあります。
同じようなお悩みをお持ちの方も、諦めずに一度ご相談ください。
もしかしたら、治療により歯を保存できるかも知れません。
歯内療法でお困りの患者さんのお悩みを少しでも解決できるように、今後もアップデートを怠らず精進して参ります。

※これらすべてのX線写真やCT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。

ページトップへ戻る