CASE

症例紹介

  • 歯性上顎洞炎
  • 歯根端切除術

5年前に根の治療をした奥歯の歯茎が腫れている。鼻から膿が出てくるのをどうにかして欲しい。歯根端切除術で対応した症例。

通院時の年齢 30歳
性別 男性
通院回数 5回(初診+急患対応+歯根端切除術+抜糸+1ヶ月経過観察)
通院目的 昔に根の治療をした歯が膿んでいる。痛みがあるのでなんとかして欲しい。出来れば被せ物はそのままがいい。
処置内容 歯根端切除術
費用 187,000円(※治療当時の費用になります。)
備考 歯性上顎洞炎を併発している。未処置のMB2あり。ジルコニアクラウンは最近作製。

初診

患者さんは、左上の奥歯の歯茎が腫れて、膿が出てきたことを主訴にかかりつけ歯科医院に来院されました。
5年前に根管治療をした歯でしたが、時々痛みがあったものの特に腫れたりしなかったのであまり気にしていませんでした。
かかりつけ歯科医院で診査を行いましたが、治療が難しいとのことで、当院へ紹介されて来院されました。

口腔内診査では、患歯である左上6にはジルコニアクラウンが装着(仮着)されており、ポケットはありませんでしたが、打診痛があり、サイナストラクトより排膿がありました。
左の鼻から膿が出るような感じがあり、喉の奥に膿が流れてきて、臭いということでした。
CTでは、未処置のMB2が確認でき、頬側の骨が失われており排膿路が形成され、上顎洞底粘膜を押し上げるような根尖病変が確認できました。

治療方針として
①経過観察
②抜歯
③治療(再根管治療・歯根端切除術)
などのついてのメリットデメリットについてお伝えし、根の治療で治癒しない場合は、耳鼻科との連携が必要であることもお伝えしました。

患者さんは歯根端切除術をご希望されたため、次回より治療を進めていくことをお伝えし、診察を終了いたしました。

急患対応(抗生物質・鎮痛薬処方)

手術のご予約を取っていましたが、強い痛みが出たため、かかりつけ歯科医院にて切開排膿処置を受けました。
それでも痛みが治まらなかったため当院に急患で来院され、追加で応急処置と抗生物質・鎮痛剤を処方し、何かあればいつでもご連絡いただくようにお伝えいたしました。

 

治療(左上6歯根端切除術)

応急処置後、排膿や鼻症状はあるものの痛みは無くなっていたため、予定通り歯根端切除術を行うことになりました。
浸潤麻酔をしてから、歯肉を切開剥離し、歯や骨から感染している組織を除去し、根尖部を切断し染め出した後、破折がないかを確認しました。
破折線はなかったため、逆根管形成および逆根管充填(MTAセメント)し、縫合しました。

Screenshot

 

 

抜糸(1週間)

術後1週間で来院いただいたき、抜糸および術野の洗浄を行いました。
痛みは無くなっていましたが、まだ鼻の症状(後鼻漏)が強く残っていたため、術後1ヶ月でご来院いただくようにお伝えいいたしました。

経過観察(1ヶ月)

術後1ヶ月では、鼻症状は消失しており、サイナストラクトも消失しておりました。
ここから病変がどうなっていくか患者さんと一緒にみていくことをお伝えし、終了いたしました。

 

経過観察(術後1年)

術後4ヶ月の時点では、臨床症状は改善しておりましたが、CT画像上での根の先の病変の治癒傾向はあまり見られませんでした。
術後1年の経過観察時のCT撮影では、根尖病変の治癒傾向がみられ、根尖部に骨の添加が確認できました。

 

Screenshot

 

「治療する前はものすごく痛かったですが、今は全く問題ありません。長年の悩みから解放されました。ありがとうございます!」とのお言葉をいただきました。
まだ上顎洞内に病変があり口蓋根が病変に関与している可能性もあるため、今後どのように変化していくかは定期的に観察していく必要がありますが、今は痛みなく快適過ごしているとのことでとても嬉しいです。

被せ物を外さずに治療ができる場合もありますし、どうしても治療の成功率を上げるために被せ物を外さなければならない場合もあります。
今回は歯根端切除術により、被せ物を外さずに歯を無事に保存できたことを嬉しく思います。
まだまだこれからの症例ですが、引き続き大切な歯を少しでも残せるように日々精進してまいります。

※これらすべての口腔内写真やX線写真・CT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。

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