CASE

症例紹介

  • 意図的再植術 症例

「歯が破折しているかもしれない」と言われたが抜きたくない。意図的再植術を行なった。

通院時の年齢 46歳
性別 女性
通院回数 1
通院目的 歯が割れているかもしれない。抜歯したくない。
処置内容 意図的再植術
費用 165,000円
備考 舌側ポケット9mm。反対側下顎7番が破折で抜歯になった経験あり。

初診時

患者さんは左下奥歯の違和感を主訴に来院されました。5年程前に息を吸うだけで染みて痛かったため、根管治療を受けたのちに銀の被せ物しました。疲れるたびに違和感はありましたが、仕事に家庭に忙しくなかなか頻繁には歯科医院へ来院できない状態でした。他院で見てもらったところ「破折しているかもしれない」と説明を受け、なんとか抜かずに残すことができないかとご相談に来られました。

まず、口腔内診査とデンタルX線撮影を行いました。

意図的再植術 術前デンタルX線画像

歯は叩くと痛みがあり、舌側中央に7mmを超える歯周ポケットがありました。以前に根管治療がされていますが根管の途中までしか清掃されておらず、なんらかの原因で根の先まで器具が到達できない状態である可能性がありました。

複雑な根管形態であることが予想され、外科的歯内療法になる可能性も高いと判断したため、CT撮影を行いました。

意図的再植術 術前CT画像

歯は樋状根と呼ばれる特殊な形をしており、根が細く分岐部が穿孔していることによる感染も疑われ、根管治療そのものが困難であることが考えられました。

患者さんには、現状をお伝えした上で、①抜歯②再根管治療③意図的再植術④経過観察等の選択肢のメリットデメリットをご説明しました。患者さんは「治療の際に割れているかどうかはっきり知りたい。残す為に残す方法があるならトライしてみたい。」とおっしゃられ、意図的再植術を希望されました。

 

治療(1回で終了)

まず麻酔を行い、銀の銀の被せ物を外しました。中の状態は治療されてそれほど年月が経っていないこともあり、虫歯や破折線が見あたりませんでした。ただでさえ根が薄く細いということもあり、出来るだけ歯とその周辺の組織に過剰な力をかけないようにゆっくりと抜歯を行いました。

抜いた歯を観察してみると、歯の股の部分に大量の感染した組織がありました。器材で感染組織を除去していくと、歯の股の部分に穴が空いているのが確認できました。顕微鏡で確認できる感染源を取りきったと判断したのちに、再感染しないようにMTAセメントを用いて穿孔部と根管の封鎖を行いました。

感染した組織を除去したのち、歯を元の位置に戻しました。ピタッと元の位置に戻ったため、糸で縫ったり固定を行うことなく終了しました。術後のデンタルX線撮影を行い、今後の経過を一緒に見ていくことをお伝えしました。

意図的再植術 術後デンタルX線画像

経過観察(術後3ヶ月)

意図的再植術 術前術後3ヶ月デンタルX線画像

3ヶ月後の経過観察時、デンタルX線では根尖病変は治癒傾向を示しているかどうかは不明瞭でしたが、もともとあった7mmあった歯周ポケットは2mmまで改善し、叩いても響く感じはなくなっていました。患者さんが多忙のため予約が取りづらく、現時点での状況を詳しく把握しておきたい要望もあったため、CT撮影を行いました。

意図的再植術 術前術後3ヶ月CT画像

CTで確認すると、歯周ポケット改善していた頬側の骨が回復傾向を示しておりました。このまま周りの病変が順調に回復していってくれることを願って、最終の被せ物を装着していただいた上で、引き続き経過観察を行うことになりました。

 

患者さんは「破折しているかもしれないと言われてとてもショックでしたが、なんとか歯が残りそうでとても嬉しいです!治療していただいて良かったです!」とのありがたいお言葉をいただきました。外科的な治療をすることで、患者さんの免疫力が正常に働く環境を作ることができ、その結果骨が回復することがあります。抜歯と言われているような歯であっても、このように保存できる可能性があります。患者利益につながるように、これからも最善を尽くしてまいります。

※これらすべてのX線写真やCT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。

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