CASE

症例紹介

  • 外科的歯内療法 歯根端切除術 症例

他院で歯根端切除術を行った歯が腫れてきた。抜歯しかない?

通院時の年齢 44歳
性別 女性
通院回数 2回(再歯根端切除術+抜糸)
通院目的 歯根端切除術した歯に違和感がある。
処置内容 再歯根端切除術
費用 143,000円(※治療当時の費用になります。)
備考 ブリッジの支台である。太いコアが入っている。

根管治療を行なっても治癒しない場合、外科的歯内療法が必要になるケースがしばしばあります。
歯の根の構造は大変複雑であり、一度歯の中に細菌が入ってしまえば、根管治療だけでは病気を治癒させることが難しいことがあるからです。
歯内療法に特化した治療を行う歯科医師にとって、歯内療法外科(歯根端切除術や意図的再植術など)はなくてはならない治療の選択肢になります。
正確な診査診断、世界基準に準じた治療方法、適切な器具や材料の選択によって行われる外科治療の成功率は90%程度になり、抜歯を回避するための有力な手段になり得ます。
しかし、エビデンスの乏しい治療方針や不適切な術式・材料の吟味不足などにより、失敗してしまうこともあります。
今回は、一度歯根端切除術を受けたものの病気が治らず、大変悩み深い状態で来院された患者さんをご紹介したいと思います。
*当症例には手術の写真が含まれるため、苦手な方は閲覧にご注意ください。

初診時

患者さんは右上前歯の歯根端切除術を1年以上前に受けたが、ずっと違和感があることを主訴に来院されました。
前医では、「根の先に病気があります。このまま置いておくと抜歯になるかも知れません。」と言われて、歯根端切除術を受けたものの違和感が消えずにいました。
デンタルX線とCT画像からは根の先が既に大きく切断されていることや、根尖部の透過像が確認できました。

 

ブリッジの支台であることや、もうすでに相当量の歯質が失われていること、右上2にも病変が及んでいることも踏まえ、再歯根端切除術のメリット・デメリットをお伝えしたところ、「どうにか抜歯は避けたいです。治る可能性があるなら治療をお願いします。」とご決断されました。

 

 

治療(再歯根端切除術

痛みと出血のコントロールのために十分な浸潤麻酔を行い、歯肉を切開剥離していきました。
剥離をした段階で、右上1根尖相当部に緑黒色のブヨブヨした塊が確認できました。
塊や肉芽組織を除去したのち切断面を染め出して確認したところ、青く染まった歯科材料が確認できました。
切断表面を一層だけ削除し、感染が起こっている材料を超音波チップ等を用いて適切に除去しました。
骨窩洞や根管内が綺麗になったのを確認した後、MTAセメントにて逆根管充填を行い、歯肉を元の位置に戻して縫合しました。
術後のX線が画像では緊密に逆根管充填ができているのが確認できます。

 

 

以上の、治療より病気の治らなかった原因として
①骨窩洞にあった歯科材料
②切断面の逆根管形成及び充填が行われていなかったこと
が考えられました。
抗生物質と痛み止めをお出しし、術後の経過を患者さんと一緒に見ていくことをお伝えし、治療を終了しました。

 

 

 

抜糸(術後1週間)
一週間後に抜糸のためにご来院いただいた際に術後の状況をお聞きすると、「2日ほど少しズキズキしました。今も違和感はあります。」とのことでした。

病変経過を患者さんと共に追っていく旨をご説明し、経過観察へ移行しました。

 

経過観察(術後6ヶ月)

患者さんは、術後2ヶ月経っても、手術を受けた部分に違和感がありました。
術後の違和感については、すぐに違和感が消える方もいれば、3ヶ月をすぎてもなんとなく違和感がある方まで実にさまざまで、患者さんのポテンシャルや痛みの感じ方にもよります。
特に強い痛みや違和感ではなかったため、引き続き経過観察を行いました。

術後6ヶ月の時点では、違和感もなくなっており、デンタルX線画像でもCT画像でも病変の治癒傾向が確認できました。

 

患者さんから「一度手術を受けた歯でも治ることがあるんですね!抜かずに残していただいてありがとうございます!」とのお言葉をいただきました。
太いコアが入っていることや、ブリッジの支台であることから引き続き経過観察は必要ではありますが、ひとまず保存することができてとても嬉しく思います。

今回のように一度外科的歯内療法を行った歯であっても、再度外科的歯内療法をすることで治癒させることができる場合もあります。
同じようなお悩みをお持ちの方も、諦めずに一度ご相談ください。
もしかしたら、治療により歯を保存できるかも知れません。
歯内療法でお困りの患者さんのお悩みを少しでも解決できるように、今後もアップデートを怠らず精進して参ります。

※これらすべてのX線写真やCT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。

ページトップへ戻る