- 再根管治療
噛むと痛い!どうにかして歯を残したい・・・。
通院時の年齢 | 61歳 |
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性別 | 女性 |
通院回数 | 3回 |
通院目的 | 3ヶ月前金属の土台を入れた。金属の土台が太くて歯が割れそうで怖いのでとって欲しい。 |
処置内容 | 根管治療+支台築造+穿孔修復 |
費用 | 154,000円+22,000円+33,000円(※治療当時の費用になります。) |
備考 | 骨粗鬆症の薬を飲んでいる。 |
初診時
患者さんは3ヶ月前に、他院で左上6を保存不可能と診断され抜歯された後、左上7の支台築造(メタルコア)をやり直した際に強い自発痛・咬合痛が出ました。「左上7も抜いた方が良い。」と主治医に提案されましたが、なんとか残したいとの思いから紹介元の歯科医院を訪れ、そこから当院へ紹介されて来院されました。
口腔内診査に加え、デンタルX線撮影を行いました。デンタルX線撮影では角度をつけた照射方法でなんとか根尖部に病変が確認できました。その後歯科用CT撮影を行いました。
金属の土台を入れてから強い打診痛があり、歯が浮いたような感じがしており、日によっては何もしていなくてもズキズキするとのことでした。
CTでは、防腐剤が根の先から出てしまっていて、その周りに病変ができているのが確認できます。
患者さんに、①抜歯②再根管治療③意図的再植④経過観察等の選択肢のメリットデメリットをご説明しました。患者さんは、抜歯も含め外科的な選択はなるだけ避けたいとお考えであり、まずは再根管治療をご希望されました。
治療1回目
まず麻酔を行い、極力歯を削らないように3ヶ月前につけたばかりの金属の土台を除去していきました。歯肉縁下にカリエスがあったためそちらを除去を行い、電気メスにて歯茎の形を整え薬液による止血を行いました。その後、ラバーダム防湿ができるようにレジンにて隔壁を作製しました。
ラバーダム防湿を行い、超音波チップとファイルにて感染している部分を選択的に除去していきました。細心の注意を払いながら根の先から飛び出してしまっている材料少しずつ削ると、苦労の甲斐もあり先の部分を一塊で取り除くことができました。材料の除去後、根の先からの出血と排膿が見られましたが、十分な洗浄を行ったところ、出血排膿はおさまりました。
根管内に殺菌のために水酸化カルシウムを入れ消毒済みの仮蓋で歯を封鎖して、1回目は終了しました。
治療2回目
2回目には自発痛はなくなり、打診痛も以前よりマシになってはいました。再びラバーダム防湿を行い仮の蓋を外し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液とEDTAにて根管内を満たして、超音波にて薬液を根管の隅々まで撹拌しながら洗浄を行いました。破壊されている根尖部へMTAセメント(プロルート)にて根管充填を行いました。その後はコア用のレジンとファイバーポストによって土台を作製し、中に細菌が入っていかない状況にして治療を終えました。
術後のデンタルX線を撮影し、今後患者さんと共に病変の治癒を確認することをご説明し、治療を終了しました。
経過観察3ヶ月
術後3ヶ月の経過観察時、打診痛はほぼ無いが違和感はあるとのことで、患者さんからの希望もありCT撮影を行い術前術後を比較しました。
遠心にあった根尖病変が治癒し骨が再生しているのが確認できました。患者さんは「外科処置をしないで歯を残すことができて本当に良かったです!」と満足されていました。抜歯と言われるような状態であっても、可能な限り患者さんのご希望に添えるように、これからも最善を尽くして参ります。
※これらすべてのX線写真やCT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。