CASE

症例紹介

  • 根管治療 歯性上顎洞炎 症例

耳鼻科で歯が原因で鼻に膿が溜まっているかもしれないと言われた。抜歯したくない。

通院時の年齢 34歳
性別 男性
通院回数 3回
通院目的 歯の病気が原因で鼻の病気になっていると言われた。歯を抜きたくない。
処置内容 根管治療+支台築造
費用 132,000円+22,000円
備考 上顎洞炎。鼻症状あり。内視鏡下副鼻腔手術。

よくいただく質問の中に、「耳鼻科の先生に『歯の病気が原因で鼻の病気になることがある』と言われましたが、どうゆうこうとですか?」というのがあります。実際に、いくつかの歯科医院や耳鼻科に行ったものの原因わからず「なんとも言えません。とりあえず様子を見ましょう。」と言われて途方にくれる場合も少なくありません。痛みやしんどさもある中、ただただ時間が過ぎてゆくことで、精神的にも肉体的にも疲弊してしまってから、受診されることもしばしばあります。この辺りについては、「耳鼻科との連携診療」に記載しておりますのでご参考いただければと思います。今回は、耳鼻科の先生と連携しながら問題解決に携わった症例になります。

初診時

患者さんは耳鼻科にて「鼻の症状の原因の一つのとして歯が原因の可能性もあるので、一度診てもらってください」と紹介状を持って来院されました。5年ほど前からアレルギー性の鼻炎もあり、ひどくなるとお薬を飲んでいましたがよくならず、副鼻腔炎手術を視野に入れて耳鼻科を変えられた経緯がありました。

以前に虫歯治療を受けた際にインレーが装着されており、歯との境目に虫歯があり、そこからの感染により神経が死んでいる事が疑われ、デンタルX線画像上では、左上5に根尖病変が確認できました。

 

耳鼻科の先生からは「左の上顎洞の炎症は歯が原因である疑いがありますので詳細な診査をお願いします」との内容の紹介状とCTが添付されておりました。CTを拝見しますと、両側性副鼻腔炎及び、左上第二小臼歯の根尖病変が上顎洞粘膜を突き破っている映像が見られました。

 

総合的に判断した上で、下記のことについてご説明しました。
①もともとアレルギー性鼻炎および両側性副鼻腔炎があるため、歯の治療(抜歯を含む)のみで鼻の症状が治るかどうかは不明である。
②根管治療をした後、病変が治癒しない場合は歯根端切除術を行う可能性がある。
③歯の治療をしても症状が改善しない場合、副鼻腔手術が必要になる可能性がある。

これらのことを踏まえて、「根管治療」「抜歯」「経過観察」等の選択肢を提示させていただきました。

「歯に病気があるならばまず治療して欲しい。鼻の症状については歯の治療後にまた相談したい。」とのことでしたので、根管治療を開始することになりました。

 

治療1回目

まず麻酔を行い、銀の詰め物や虫歯や古い詰め物をドリルで除去しました。古い材料をとっていく途中で神経の部屋に到達しましたが、歯髄が感染しているため強い腐敗臭がありました。虫歯などを除去した後、ラバーダムを適切に装着するための前準備としてコンポジットレジンにより隔壁を作製しました。その上でラバーダム防湿・コーキング材による封鎖・薬液による消毒を行い根管治療を開始しました。

根の先まで器具が到達するのをデンタルX線が像で確認したのち、ニッケルチタンファイルにより拡大形成を行い、十分に洗浄を行いました。水酸化カルシウムを貼薬し、消毒済みの仮蓋で歯を封鎖して、1回目は終了しました。

 

治療2回目

2回目来院時には、心なしか左の鼻の調子がマシになったとのことでした。再びラバーダム防湿を行い仮の蓋を外し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液とEDTAを根管内に満たして、最終の洗浄を行いました。防腐剤とシーラーで根管充填を行い、その後はコア用のレジンとファイバーポストによって土台を作製し、中に細菌が入っていかない状況にして治療を終えました。術後のデンタルX線を撮影し、今後は耳鼻科の先生と患者さんと共に、病変の状況を確認しながら経過をみていくことをお伝えし、治療を終了しました。

 

 

 

経過観察(術後5ヶ月・14ヶ月)

耳鼻科の先生と患者さんと相談しながら、経過を追っていきました。術後5ヶ月の経過観察時には根尖病変は縮小傾向を示し、左側にあった重い感じは大分マシにはなっていました。

しかし、根本的な鼻の症状の改善には繋がりませんでした。その後、患者さんの希望もあり、耳鼻科にて内視鏡下副鼻腔炎手術が行われました。

さらに、術後14ヶ月時に来院された際に撮影したX線画像では、病変がほぼなくなり良好な結果が確認できました。鼻のオペの経過も良好で「先生、無事に歯も鼻もいい感じになってきました、ありがとうございます!」と嬉しい言葉を聞くことができました。

今回、上顎洞炎の原因はもともと鼻にあったが歯の病気が悪化させていた症例でした。上顎洞炎で困っている患者さんにとって、歯科行っても耳鼻科に行っても「とりあえずお薬を飲みながら様子をみましょう。」と言われるのは不安になります。理由がわからず痛みや違和感に耐えるのはとても辛いことです。同じような症状でお困りの方は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。歯の治療だけで治らない場合や鼻の治療だけで治らない場合でも、歯科・耳鼻科両方の先生とスムーズに連携を取ることで、安心して治療を受けていただけることができます。患者さんの利益につながるよう、引き続き日々精進してまいります。

※これらすべてのX線写真やCT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。

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