CASE

症例紹介

  • 再根管治療

根管治療中の歯が痛くてたまらない。根の先まで器具が行かない?抜きたくない。

通院時の年齢 32歳
性別 女性
通院回数 4回(初診+再根管治療3回)
通院目的 根管治療中の歯がズキズキ痛い。
処置内容 再根管治療+コア築造
費用 154,000円+22,000円(※治療当時の費用になります。)
備考 痛みの期間が長い。神経障害性疼痛の疑いあり。

当院には「根管治療をしている歯の痛みが取れず、何回も歯医者さんに通っても全く症状が改善しない。」といった悩みで来院される方がいらっしゃいます。原因は様々ですが、未処置の根管があることによって長く辛い痛みが続く場合があります。今回は、未処置根管を発見、治療することにより症状が改善した症例についてご紹介します。

 

初診時

患者さんは、根管治療中の左上の奥歯がズキズキして、何も噛めないことを主訴に来院されました。痛みの経過は下記の通りです。

・ここ1年半くらいは2〜3ヶ月に一度定期検診に行っていた。
・1年半〜1年前から少ししみており、2ヶ月半前に激痛に襲われた。
・痛みが出た際に神経を取り除く治療を受けたが、その夜から激痛が生じ、2日我慢したが痛みが引かずその後毎日通院することになった。
・痛みが改善しないため医院を変え、2件目の医院では「神経が取りきれていない」と言われ治療に入った。しかし、痛みは改善せず「うちではこれ以上の治療は難しいので専門の医院で一度見てもらった方がいい」と言われた。
・色々調べて、当院に来院することになった。

この2ヶ月間は、痛み止めを飲みつつなんとか過ごしているが、かなり苦しい時期であったとのことでした。

まず、口腔内診査を行うと左上6の根の治療が途中であるのと、頬側にCR(コンポジットレジン)が見られました。打診をすると相当な痛みがあり、強い炎症があることが予想されました。患者さんからは「以前治療していただいた先生からは、根の先まで器具が行かないと聞きました。」とお伝えいただき根尖まで治療ができていない可能性もありました。

 

デンタルX線撮影を行うと通常とは違う位置に根が見られ、CT撮影を行うと通常の歯とは異なる形態が確認できました。CT上では以前治療されたCR(コンポジットレジン)充填のすぐ下に未処置の根管がある可能性があり、3根4根管で全ての根尖に小さいながらも病変が確認できました。

以上を踏まえた上で、
①長期間にわたり痛みがあったため、すぐに痛みが取れて問題なくなるとは考えづらいこと
②未処置の根管が原因であれば痛みが治まるが、その他の原因の可能性も考えらるため、歯内療法で必ず改善するとは言えないこと
③再根管治療で改善しない場合は、外科的歯内療法に移行する可能性があること
など、ご説明する点は多岐に渡りました。

患者さんは「この痛みが少しでも良くなるなら治療して欲しい。」とおっしゃられ、再根管治療をすることになりました。

 

治療1回目

まず麻酔を行い、CR充填や仮の蓋を除去して行きました。術前に調べていた通り、CR充填の下に虫歯と未処置の根管が見つかりました。歯肉の下まで虫歯があったため、電気メスを用いて歯茎の形を調整した後にCRにて隔壁を行いました。

ラバーダム防湿を行い、未処置のものも含め根管を拡大形成および洗浄しました。水酸化カルシウムを根の先に貼薬し、仮の蓋をして1回目の治療を終えました。

 

治療2回目

2回目来院時においても、重度の打診があり、症状も改善傾向が見られませんでした。追加で根管を拡大形成し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を満たした根管内を十分に超音波洗浄しました。水酸化カルシウムを貼薬、仮の蓋で封鎖し、2回目を終了しました。

 

治療3回目

3回目の時点では、依然打診はあるものの痛みは少しマシになっていました。ラバーダム防湿下にて最終洗浄を行なった後、根管充填およびファイバーポストを伴うレジンコア築造を行いました。

術後のデンタルX線を撮影しましたがデンタルX線では治癒経過の判断がが難しい可能性があったため、今後患者さんと共に病変の治癒を確認する際にCTが必要になる可能性をご説明し、治療を終了しました。強い打診痛があったことを考慮し、まず1ヶ月は仮歯無しで様子を見ていただき、その後問題がなければ仮歯を装着していくように依頼をしました。

 

経過観察(術後3ヶ月・6ヶ月・1年)

術後3ヶ月では、強い打診痛がまだ残っておりました。しかし、術後6ヶ月の経過観察時には幸いにも痛みが改善傾向を示し、1年後の経過観察時に来院された際には痛みはほぼ無くなっていました。病変の治癒を調べるためにデンタルX線画像を撮影させていただきましたが比較検討が困難でした。

病変が本当に治癒しているのかどうかを確認するために、患者さんにCTを撮影することにおけるメリットデメリットや被曝についても再度説明した上でCTを撮影させていただきました。比較したところ、術前にあった病変は消失しておりました。

根管治療 術前術後1年 CT画像

「あんなに痛かったのに、今はほとんど気になりません。治療していただいて本当に良かったです、ありがとうございます!」と嬉しいお言葉をいただきました。術前の痛みがとても強く、根管治療では治らないかもしれないとお伝えしていた分、喜びもとても大きいものでした。患者さん一人一人お口の中の状況は異なりますので、同じような病気であっても必ず治るとは言えません。それでも、少しでも患者さんのお悩みを解決できるように、これからも精進してまいります。

※これらすべてのX線写真やCT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。

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