CASE

症例紹介

  • 再根管治療
  • 歯根端切除術

外傷で神経が死んでいた歯、歯が吸収していて治療が難しいと言われた。再根管治療と歯根端切除術、外部吸収部修復にて保存した症例。

通院時の年齢 16歳
性別 男性
通院回数 5回(初診+歯根端切除術+抜糸+再根管治療+根管充填・支台築造)
通院目的 前歯の病気が大きく治療が難しい。なんとか抜かずに残したい。
処置内容 歯根端切除術+再根管治療+支台築造
費用 143,000円+66,000円+22,000円
備考 外部吸収あり。根が短いため、歯根端切除術で3mm切断は難しい。

初診

患者さんはかかりつけ歯科の先生で前歯の根管治療受けましたが、歯が吸収しているため根管治療が難しいとの理由で、当院にご紹介されて来院されました。
・3年ほど前に、運動中にボールが当たったことで歯が大きく欠けた。
・歯の修復治療してもらって問題なく生活していたが、最近歯肉から膿が出てきた。
・抜歯になるかもしれないと聞いているが、歯の保存ができるかどうか知りたい。
との話でした。
来院時は右上1は仮封がされて、打診痛はありませんでしたが、口腔内診査では頬側に6mmの歯周ポケットや若干の動揺、サイナストラクトがありました。
CT撮影を行ったところ、大きな根尖病変があり、頬側の一部に外部吸収を思わせる像が確認できました。

治療方針として
①経過観察
②抜歯
③治療(再根管治療・外部吸収修復・歯根端切除術)
についてのメリットデメリットについてお伝えしました。

患者さんが治療を希望されたため、次回より治療を行うことになりました。
外科処置と再根管治療を同時に行うか分けて行うかを相談しましたが、安全と確実性(薬液の漏洩・不十分な防湿などのリスク回避)を考慮して、まずは外科治療から行うことになりました。

 

 

治療1回目(歯根端切除術+外部吸収部修復)

浸潤麻酔をしてから、仮封材を除去し根管内を軽く洗浄した後、歯肉を切開剥離し、根尖部及び外部吸収部の病変を除去しました。
外部吸収している箇所の汚染部を除去し、レジンで補修した後、根尖部を切断し逆根管形成および逆根管充填(MTAセメント)を行い、縫合しました。
歯根が短くなりすぎると予後が悪くなることも考慮し、根尖の切断は最小限で済ませ、もし病変が再発する場合は再度切断させていただくことでご理解をいただきました。
根管内を生理食塩水で洗浄し、貼薬行い仮封して治療を終えました。

 

治療2回目(抜糸

術後1週間で抜糸のために来院いただいた際にも、ほとんど痛みなく経過していました。
歯茎の状態も順調に経過していたため、次回再根管治療を行うことになりました。

 

治療3回目(再根管治療

麻酔を行い、ラバーダム防湿・コーキングおよびヨードと過酸化水素水による術野の消毒を行いました。

外部吸収部の封鎖と根尖部のMTAセメントがしっかり硬化しているのを確認した後、根管内を十分に次亜塩素酸ナトリウムで消毒し、水酸化カルシウム製剤を貼薬いたしました。

 

治療4回目(根管充填+支台築造)

麻酔を行い、ラバーダム防湿・コーキングおよびヨードと過酸化水素水による術野の消毒を行いました。
根管内を洗浄・消毒を行い、防腐剤を充填し、その上からファイバーポストとレジンにより支台築造を行いました。
今後患者さんと共に病変の治癒を確認することをご説明し、治療を終了しました。

 

 

経過観察(術後1年)

治療後は症状もなく、また心配していたポケットの再発や歯肉退縮も起こらず、問題なく経過しておりました。
術後1年の経過観察時のCT撮影では、右上1根尖病変の治癒がみられました。

 

 

「最初は抜歯になるかもしれないと思っていたので、残ってくれて本当に嬉しいです。ありがとうございます。」とのお言葉をいただきました。

再根管治療と歯根端切除術、外部吸収部の修復を行うことで、吸収している大きな病変をもつ歯を無事に保存できたことを嬉しく思います。
そして、10代の骨の再生力の凄まじさには感服いたしました。
引き続き大切な歯を少しでも残せるように日々精進してまいります。

※これらすべての口腔内写真やX線写真・CT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。

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