CASE

症例紹介

  • 根管治療

様子を見ましょうと言われていたが、咬むと痛い時がある。根管治療で対応した症例。

通院時の年齢 48歳
性別 女性
通院回数 3回(初診+根管治療2回)
通院目的 右下の奥歯が咬むと痛い。歯科医師より神経を抜く話をされたが、どうしていいかわからないので診てほしい。
処置内容 根管治療+支台築造
費用 143,000円+22,000円(※治療当時の費用になります。)
備考 冷温診にて持続性疼痛あり。硬化性骨炎の所見あり。やや動揺あり。

違和感が強いのでなんとかして欲しいのに、「様子をみましょう」と言われしまい、どうしていいのかわからなくなってから来院られる方がいらっしゃいます。

このような方には、歯内療法の検査を普段よりも念入りに行う必要があります。
打診・圧痛の確認、電気歯髄診、冷温診、咬合診、破折の有無、ポケット診査、動揺の確認、デンタルX線診査、CT撮影などの診査項目を行った上で、総合的に原因がどこにあるのかを診断してきます。

①どうして症状が起きているのか
②それを放っておくとどうなるのか
③どのような治療法があるのか
などについてお話しさせていただき、患者さんにとってより良い方法を一緒に模索していきます。

今回は、違和感があるもののずっと理由がわからなかった奥歯について、十分なディスカッションをした上で根管治療を行った患者さんをご紹介したいと思います。

初診時

患者さんは右下の奥歯が、食事中に咬む力が強かったり当たったりすると痛いという症状がありました。昔の治療した銀の詰め物が数年前に外れたため、虫歯を取って再度詰め直しましたが、治療後から咬むと痛みが出るようになりました。
日常的な咬みしめの癖を指摘されたため、注意して咬んだり、歯科医院で作っていただいたマウスピースにより普段の痛みは軽減しましたが、やはり食事中時々「うぐっ」っとなるとのことでした。
近所の歯科の先生からは「被せをとってみないと虫歯かはわからない。」「咬みしめにより起きる炎症が要因かもしれない。」と伝えられ、「治療するなら神経をとるしかない。」と言われていました。
先生からは「我慢できるほどの痛みなら、神経を取る治療をせずに付き合う方がいいかも。」と言われたが、置いておいても大丈夫なのかだんだん不安になり、良い治療法があればと思いHP等をお調べになられて当院に来院されました。

まず、口腔内診査を行ないましたが、左下7は大きな銀の詰め物が合着されており、遠心に4mmの歯周ポケット、打診・圧痛はありませんでしたが、少し動揺がありました。冷温診断では、強い痛みと共に15秒を超える持続性疼痛がありました。
デンタルX線画像では、根尖部にカーブがある広い根管があり、根尖病変は確認できませんでした。


CTを撮影すると、根尖部に硬化性骨炎と思わしき所見が確認できました。

以上の検査から、詰め物の下で感染が起こり、歯髄の一部に炎症があることが疑われました。
経過観察・根管治療・抜歯などの治療方針についてメリットデメリットや、破折の可能性などについてご説明したところ、「この違和感が少しでもマシになるなら、治療してみたいと思います!」とおっしゃられ、次回より根管治療を進めることになりました。

 

治療1回目(根管治療)

まず麻酔を行い、古い銀の詰め物を外し、古いセメントや虫歯を除去していきました。

露髄するかしないかギリギリのところまで虫歯を除去した後、レジンにて隔壁を行い、ラバーダム防湿下で神経をとっていきました。
神経を取っていくと、血が通っている部分と壊死している部分がありました。

ニッケルチタンファイルで根管内を拡大形成し、十分に洗浄してから、水酸化カルシウムを貼薬し、一回目を終了しました。

 

治療2回目

2回目も再びラバーダム防湿を行い仮の蓋を外し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液とEDTAを根管内に満たして、超音波振動にて薬液を根管の隅々まで撹拌しながら洗浄を行いました。
バイオセラミックシーラーとガッタパーチャポイントを用いて根管充填、コア用のレジンにて土台を作製し、中に細菌が入っていかない状況にして治療を終えました。

 

術後のデンタルX線を撮影し、今後患者さんと共に症状がどのように変化していくかを観察していくことと、もともと少しの動揺と咬んだ時の痛みがあるため、かかりつけ歯科医院樣にて仮歯を作成していただく旨をご説明し、治療を終了しました。

 

 

経過観察(6ヶ月)

術後はかかりつけ歯科医院様で作製していただいた仮歯で過ごしていただきました。
術後3ヶ月の経過観察時に症状も落ち着いていたため、かかりつけ歯科医院様にて最終補綴を作製していただきました。
術後6ヶ月の時点では術前にあった症状もなくなり、ほぼ問題ありませんでした。

 

患者さんは「はじめは神経を抜く方がいいのか抜かない方がいいのかもはっきりしなかったため、とても不安でした。今は咬んでも気にならないです。診ていただいて良かったです!」と満足されていました。

痛みに耐えながら「取り敢えず様子をみる」のと、原因がわかって「どうゆう状況になるかを理解した状態で様子をみる」では、患者さんの負担が全く違います。
まずはご自身の状態を知っていただき、それに対して治療方針をご提案し、結果的に患者さんの利益になればとても嬉しいです。
引き続き、歯の保存に関してお困りも患者さんのために日々精進してまいります。

※これらすべてのX線写真やCT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。

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