CASE

症例紹介

  • 再根管治療

右上の奥歯が噛むと痛い。抜きたくない。

通院時の年齢 46歳
性別 女性
通院回数 3回(初診+再根管治療2回)
通院目的 右上の奥歯が噛むと痛い。
処置内容 再根管治療+支台築造
費用 154,000円+22,000円(※治療当時の費用になります。)
備考 根尖病変が上顎洞粘膜を押し上げている。

根の先の病気である「根尖病変」は様々な症状を引き起こします。「噛むと痛い」「歯が浮いたような感じがする」「ズキズキする」「膿が出てきて臭い」などなど…あまり気にならない症状から、場合によっては日常生活を送るのが難しくなるような症状まであります。今回は上顎奥歯の根尖病変が、上顎洞へ影響を及ぼしうるほどに大きくなっているケースをご紹介したいと思います。

初診時

患者さんは、右上奥歯がズキズキして歯が浮いているような感じがして噛むと痛いを主訴に来院されました。経過と問診内容は下記の通りです。

・10年以上前に強い痛みが出て、神経の治療をした。
・普段は気にならないが、疲れた時などにズキズキ痛むことがある。
・親知らずが埋まっており、それが原因の可能性もあると言われた事がある。
・神経はないはずなのに噛むと痛いのはなぜか。

まず、口腔内診査を行うと歯周ポケットはありませんでしたが、右上7に打診があり根尖部の炎症が疑われました。デンタルX線画像では右上7の根の中にほとんど防腐剤が確認できず、根尖部に病変があるように見えます。

さらに正確に状況を把握するためにCT撮影を行ったところ、根尖病変が上顎洞の粘膜を押し上げて、上顎洞と根尖病変が交通する寸前でした。

再根管治療 術前CT

 

以上を踏まえた上で、
①再根管治療(場合によっては外科処置が必要)
②抜歯
③経過観察
などの治療方針についてメリットデメリットをお話ししました。

患者さんは「まだ歯は抜きたく無いです。できる限り自分の歯を残したいので治療お願いします。」とおっしゃられ、再根管治療をすることになりました。

 

治療1回目

まず麻酔を行い、金属冠や土台・古いセメントや虫歯を除去、CR(コンポジットレジン)で歯の周りに隔壁を作製し、ラバーダム防湿を行いました。超音波チップやニッケルチタンファイルで、汚染された根管内を形成し、次亜塩素酸ナトリウムで化学的に洗浄を行いました。水酸化カルシウム製剤を根の中に貼薬し、仮の蓋をして1回目の治療を終えました。

 

治療2回目

2回目の時点では、打診などの臨床症状は消失しておりました。ラバーダム防湿を行い、最終洗浄として次亜塩素酸ナトリウムとEDTAによる超音波を用いた薬液攪拌を行ないました。ガッタパーチャポイントとキャナルシーラーを用いて根管充填、ファイバーポストを伴うレジンコア築造を行いました。

術後のデンタルX線を撮影し、今後患者さんと一緒にこの歯がどうなっていくかをみていくことをお伝えし、治療を終了しました。経過観察時に「病変が悪化している」「再び痛みなどの症状が出た」場合は、外科処置に移行することについても改めてお伝えしました。

 

経過観察(5年)

術後は特に大きな問題もなく、術後3ヶ月の時点で被せ物が装着されました。その後、幾度か定期検診をしておりましたが、術後5年の時点で、手前の右上6に気になる症状があるとのことで、そちらの状態を確認するために、右上奥歯のCT撮影をすることになりました。術前術後のCTを比較したところ、術前にあった右上7の根尖病変は治癒しておりました。

 

再根管治療 術前術後5年CT

「無事に治って嬉しいです。治療していただきありがとうございます!」というお言葉をいただきました。治療後5年の間、問題なく経過していることをとても嬉しく思います。ちなみに右上6は問題ありませんでした。患者さん一人一人お口の中の状況は異なりますので、同じような病気であっても必ず治るとは言えません。それでも、少しでも患者さんのお悩みを解決できるように、これからも精進してまいります。

※これらすべてのX線写真やCT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。

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