CASE

症例紹介

  • 再根管治療

噛むと痛い。抜歯した方が良いと言われたが、歯を残したい。再根管治療で治癒した症例。

通院時の年齢 31歳
性別 女性
通院回数 5回(初診+再根管治療4回)
通院目的 噛むと痛い。抜歯と言われたが残したい。
処置内容 再根管治療+支台築造
費用 176,000円+22,000円(※治療当時の費用になります。)
備考 打診痛、咬合痛あり。抜歯は避けたい。

「割れている可能性があるから抜きましょう。」「病気が大きいので抜歯しましょう。」「いずれダメになるので今のうちに抜いておきましょう。」と言われ、その後ご自身で色々調べられて、当院へ来院される方が多くいらっしゃいます。
今回は、奥歯の抜歯を宣告された患者さんに対して、再根管治療を行なった症例をご紹介したいと思います。

初診時

患者さんは、かかりつけの歯科医院にて「抜歯をした方がよい」を言われましたが、なんとか残す方法がないかとセカンドオピニオンを希望して当院に来院されました。
「左上一番奥の歯が、噛んだ時に痛い。」との自覚症状があり、口腔内診査においても、左上7に打診痛が確認できました。
デンタルX線画像上では根管充填材や土台が緊密に入っていないことが確認でき、CT画像上では口蓋根に病変が確認できました。

一番奥の歯の治療のため再根管治療する際の作業スペースが狭いことや、お口のサイズが小さいことにより開けてられる量や時間に制限があることから、治療回数がかかる可能性がある旨はお伝えしました。

患者様より治療の希望があったため、まずは再根管治療を行い、それでも治癒しなかった場合は、意図的再植術を行う旨を説明し、次回より治療を開始することにいたしました。

 

治療1回目(再根管治療)

まず麻酔を行い、銀歯やスクリュー上の金属やプラスチックの土台・虫歯を除去していきました。
染め出しを行い、虫歯がないのを確認してから、以後の治療がしやすいようにコンポジットレジンで隔壁を行い、ラバーダム防湿をしていきました。
過酸化水素水やヨードで治療エリアを消毒した後、防腐剤を除去していくのですが、一番奥の歯で器具の挿入が難しくはありましたが、ファイルが干渉なくスムーズに挿入できるように、超音波チップにてストレートラインアクセスを行い、ニッケルチタンファイルを曲げながら挿入し、なんとか拡大形成を行いました。
口蓋根の防腐材を除去すると、根尖が破壊されているのが確認でき、そこからジワッと膿が出てきました。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液で洗いながら吸引を行なっていましたが、なかなか止まらなかったため、一旦水酸化カルシウムを貼薬し、仮蓋をし終了しました。

 

治療2回目

前回治療終了後に少し痛みが出て、術前に打診もある状態でした。
再びラバーダム防湿を行い仮蓋を外し、前回膿の出ていた口蓋根を追加で拡大形成し、再度次亜塩素酸ナトリウム水溶液での攪拌洗浄と吸引を繰り返し行いました。
最終的には排膿は治まりましたが、滲出液が出てくるような状態でしたので、再度水酸化カルシウムを貼薬し、仮蓋をして終わりました。

 

治療3回目

前回治療終了後は特に痛みもでず、術前にあった打診も改善していました。
ラバーダム防湿を行い仮蓋を外し、前回貼薬した水酸化カルシウムを除去すると口蓋根からの滲出液はありませんでした。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液とEDTAにて攪拌洗浄を行い、近心・遠心頬側根はガッタパーチャポイントとバイオセラミックシーラー、口蓋根はMTAセメント(プロルートMTA)にて根管充填を行いました。
MTAセメントの硬化に数日がかかることや、残存シーラーによる接着阻害などが懸念されましたので、一旦仮蓋をし、この日は終了いたしました。

 

治療4回目

前回治療終了後は特に痛みもでず、問題ありませんでした。
ラバーダム防湿を行い仮蓋を外し、MTAセメントが硬化したのを確認し、残存シーラーを超音波チップとEDTAで除去しました
ファイバーポストを口蓋根に試適した後、レジンコアを気泡が入らないように充填し、ファイバーポストを挿入し、光重合を行いました。
ファイバーポストからの漏洩を防止するため、飛び出した断端は切断し、コンポジットレジンにて封鎖を行いました。
術後にデンタル撮影を行い、患者様には一緒に経過を見ていくことを説明し、治療を終了いたしました。

 

経過観察(1年)

その後、術後6ヶ月の時点で臨床症状は改善し、画像上でも病変の縮小傾向があったため、かかりつけ歯科医院様にて最終補綴をしてていただき経過を追っておりました。
術後1年の経過観察時のCT画像上では、病変が治癒しておりました。

「抜歯と言われてましたが、歯が残って噛めるようになって嬉しいです。ありがとうございます。」とのお言葉をいただきました。
お口のスペースが狭いかつ一番奥の歯であったこともあり、治療中も頑張って口を開けてくださっていたので、無事に病気が治ってくれてとても嬉しく思います。
排膿や滲出液が止まるのを待ったため、回数はかかってしまいましたが、患者さんの満足のいく良い結果になってホッとしております。
引き続き、大切な歯を少しでも残せるように、日々精進してまいります。

※これらすべてのX線写真やCT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。

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