CASE

症例紹介

  • 歯根端切除術

歯根端切除術をした奥歯の病気が再発し膿が出ている。被せ物を外さず、歯を抜かずに残したい。

通院時の年齢 35歳
性別
通院回数 3回(初診+歯根端切除術+抜糸)
通院目的 歯根端切除術を行った歯から膿が出ている。
処置内容 歯根端切除術
費用 165,000円(※治療当時の費用になります。)
備考 4ヶ月前に歯根端切除術を受けたが再発。全身疾患なし。

「再根管治療をした歯から膿が出ている」という場合の治療法として、「歯根端切除術」や「意図的再植術」などの外科的歯内療法が適応になる時があります。歯の保存を考える上でなくてはならない治療法であり、根管治療では治癒が難しい場合であっても、外科的歯内療法を行えば救える歯も少なくありません。しかし一方で、歯根端切除術を行ったものの病気が改善せず、辛い思いをされておられる患者さんもいらっしゃいます。今回は、再歯根端切除術を行うことで抜歯を回避した症例をご紹介します。

初診時

患者さんは、3年前に別の歯科医院にて左上の奥歯の根管治療を受けて被せ物をしていましたが、その後その歯を白い被せ物にするために転院し、ご紹介元のかかりつけ歯科医院にて1年半ほど前にセラミックの被せ物にやり替えました。痛みはなかったのですが、5ヶ月前に左上の奥歯の歯茎から膿が出てきたため、かかりつけの歯科医院にて歯根端切除術を受けました。しかし、膿は変わらずに出ている状態であったため、「一度、根の治療を専門的にしている先生に見てもらうのはいかがでしょう?」と言われ、当院をご紹介され来院されました。

口腔内診査を行うと左上6にセラミッククラウンが装着され、歯肉にニキビのようなものができおり、指で押すと膿が出てきました。デンタルX線撮影を行った後、病変のサイズや炎症の状況、現在の歯の状況を判断するため、CT撮影を行いました。

3年前に根管治療を受けた歯科医院では「一部石灰化しているので、そこは治療できない」とのご説明を受けており、その部分の治療が可能かどうかも心配されておりました。以上を踏まえた上で、再歯根端切除術のメリットデメリット、成功率等をご説明しました。

「ニキビが膨らんで→潰してを繰り返しています。被せ物を外さず、なんとか抜かずに治したい。」との患者さんのご希望があり、再歯根端切除術を行うことになりました。

 

治療1回目

まずは、十分に浸潤麻酔を行い、麻酔の効いた状態を確認したのち、病気のある根の先を明示するために歯茎をめくっていきました。歯茎が固く、術野を明示するのに非常に困難を伴いましたが、患者さんのご協力もあり、スムーズに治療を進めることができました。感染している組織を除去すると、以前の治療した部位が確認できました。切断面を染め出しし、感染部分を再度切断および逆根管形成を行いました。感染を取り除いたのを確認した後、血液が混入しないようにMTAセメントにて逆根管充填し、根管を封鎖しました。

切開した歯茎を縫合し元の位置に戻しました。抗生物質と痛み止めを処方し、術後のデンタルX線撮影を行いました。今後、治癒の状態を、患者さんと一緒に確認していくことをお話しし、治療を終了しました。

 

治療2回目

2回目は、前回縫った部分の糸抜きを行うために来院されました。術後すぐは腫れましたが、来院時には大分治ったとのことでした。全ての糸を抜いたのち、経過観察へ移行しました。

 

経過観察(術後3ヶ月・1年)

術後3ヶ月では臨床症状も以前あったフィステルも消失し、経過も良好でした。術後1年の経過観察時も症状はありませんでしたが、術前とデンタルX線画像を比較しても病変が縮小しているかどうかの判断が困難のためCT撮影を行いました。

CTでは、もともとあった大きな根尖病変が治癒しているのが確認でき、歯の切断面に沿って骨が形成されていました。「もうニキビが腫れる→潰すの日々はこりごりです。無事に治って嬉しいです、虫歯にならないように頑張ります。ありがとうございます!」と感謝の言葉をいただけました。

歯根端切除術はただ根の先をきるだけでは無く、感染源を正確に除去し、血液が逆側から根管内に入らないように配慮し、できるだけ緊密に充填することがとても大切です。特に再外科の場合、患者さんのお口の中の状況により治療できるかどうかも変わってきますし、同じ位置の歯や症状であっても治療の難易度が大きく異なります。今後もご自身の歯で少しでも長く過ごしていただけるよう、日々精進してまいります。

※これらすべてのX線写真やCT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。

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