CASE

症例紹介

  • 再根管治療

ブリッジの土台になっている歯の根の先に病気が!被せ物を外さずに治療して欲しい。

通院時の年齢 66歳
性別 女性
通院回数 3回(初診+再根管治療2回)
通院目的 右上の奥歯から膿が出ている。ブリッジを外さずに治療してほしい。
処置内容 再根管治療+支台築造
費用 143,000円+22,000円
備考 心疾患あり。血をサラサラにする薬等を飲んでいるため、外科処置はリスクが高い。

初診時

患者さんは右上奥歯にニキビみたいなものが出来て違和感があることを主訴に来院されました。
先天的に歯が数本足りず、それを補うために右上小臼歯〜左上大臼歯にかけて、10年以上前に装着された長いブリッジがありました。
また、心臓の疾患を抱えていおり、血がサラサラになるお薬を飲まれているため、インプラントをはじめとする外科処置のリスクも高い状態でした。
根管治療をする場合、ブリッジを外さずに治療して欲しいとのご依頼でした。

まず、口腔内診査とデンタルX線撮影を行いました。

歯を叩いても痛みはありませんでしたが、歯茎を押すとニキビのようなところから膿が出ており、強く違和感がありました。
デンタルX線画像上では、以前の根管治療により根の先まで材料が到達しておらず、治療クオリティは改善できる可能性はありました。
外科治療の可能性も考慮すべきではありますが、全身疾患があることを考えるとリスクは高いと考えられます。
患者さんからは、再根管治療でなんとか治して欲しいとの強い要望がありました。

CTを確認すると根尖部に大きな病変がありました。

以上を踏まえた上で、
①全身疾患があるため、インプラント等の外科処置をするのが難しい
②反対側に及ぶ長いブリッジが装着されており、できる限り外さずに治療して欲しい
③治療する歯だけではなく、ブリッジで連結されている歯も含め、起こりうるリスクや治療方法を全て説明する必要がある
など、考慮すべき点は多岐に渡りました。

患者さんは「自分の歯でできる限り過ごしていきたい。なんとか歯を残す方向で治療して欲しい」とおっしゃられ、再根管治療をすることになりました。

 

治療1回目

まず麻酔を行い、ブリッジをつけたまま銀歯に穴を開けていきました。
虫歯や古い詰め物をドリルで除去しながら根の先の方へ進んでいきました。
通常の根管治療と違い、かぶせを外さずに治療しているため、視野が狭くより丁寧な器具操作が要求されました。
根管口を発見したのち、根尖に穿通用のファイルを挿入しましたが、根尖部が吸収しておりかなり大きく壊れている状態だったため、薬液が外に漏れないように細心の注意を払いながら根管内に水酸化カルシウム製剤を貼薬、消毒済みの仮蓋で歯を封鎖して、1回目は終了しました。

 

治療2回目

2回目来院時には、膿も収まり違和感はほとんど無くなっていました。
再びラバーダム防湿を行い仮の蓋を外し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液とEDTAを根管内に満たして、最終の洗浄を行いました。
根尖が大きく壊れてしまっていることもあり、通常の防腐剤ではなくMTAセメントを用いて根尖部の封鎖を試みました。
可能な限り材料が歯の外にもれないように圧接する力に注意しながら、根管内に充填していきました。
その後はコア用のレジンとファイバーポストによって土台を作製し、中に細菌が入っていかない状況にして治療を終えました。

術後のデンタルX線を撮影し、今後患者さんと共に病変の治癒を確認することをご説明し、治療を終了しました。

 

経過観察(術後3ヶ月・9ヶ月・2年

術後3ヶ月の経過観察時、デンタルX線画像では根尖病変は治癒傾向示しているように見えます。

 

さらに、術後9ヶ月に来院された際に撮影したX線画像では、明らかな病変の縮小傾向が確認できました。

 

さらに術後2年でCT撮影を行い、状態を確認したところ、ほぼ骨が回復しているのが確認できました。

患者さんと、病変が治癒し骨が再生しているのを一緒に確認していると、「ブリッジを外さずに治していただいてありがとうございます!しっかりメンテナンスして問題が出ないように頑張ります!」と嬉しいお言葉をいただきました。
治療自体が難しく全身疾患のために治療の選択肢が限られた中ではありましたが、幸いにも病気は治癒してくれました。
改めて患者さんの治療への前向きな姿勢や、病変を治癒に導いた免疫力に感謝です。
これからも可能な限りご希望に添えるように、最善を尽くしていきたいと思います。

※これらすべてのX線写真やCT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。

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