CASE

症例紹介

  • 意図的再植術

他院で意図的再植術を受けたが再発しサイナストラクト(フィステル)より膿が出ている。抜歯するしかないと言われたが診て欲しい。再意図的再植術で治療した症例。

通院時の年齢 32歳
性別 女性
通院回数 3回(初診+意図的再植術+固定確認)
通院目的 意図的再植術を受けた歯が膿んでいる。診てほしい。
処置内容 再意図的再植術
費用 187,000円
備考 口蓋側にサイナストラクト(フィステル)有り。歯が短く抜歯のリスクあり。

再根管治療で治らなかった場合、外科治療(歯根端切除術・意図的再植術など)が必要になるケースがあります。
しかし、外科処置を受けたけれども治らず抜歯と言われるケースもあります。
「感染源の除去が十分ではない。」「根尖部にマイクロクラックが入っている。」「材料が硬化する前に血液に触れてしまい感染を起こしてしまっている。」など様々な理由により病気が治らず、どうして良いかわからなくなる患者さんもいらっしゃいます。
今回は、上顎第二大臼歯の意図的再植術を行なったが、サイナストラクト(フィステル)の改善が見られなかったため、再意図的再植術を行なった症例をご紹介いたします。

初診時

患者さんは、2年前に他院にて左上の奥歯の歯肉にニキビのようなものができたためかかりつけ歯科医院で相談したところ、意図的再植術を勧められたため治療を受けました。
しかし、治療後3ヶ月で膿が再発しどうしたらいいか相談したところ、このまま様子を見るか抜歯するかとの提案だったため、しばらく様子見ていました。
歯に動揺はなく打診痛もありませんでしたが、口蓋側に歯周ポケットがありサイナストラクト(フィステル)から膿が出ている状態でした。
デンタルX線とCT撮影をしてみると、根尖から口蓋側にかけて病変が確認できました。

治療方針として
①経過観察
②抜歯
③再意図的再植術
をご提案したところ、治療方針の③の再意図的再植術をご希望されたため、次回より治療を進めることになりました。

 

治療(再意図的再植術)

まずは麻酔を効かせた上で、鉗子とヘーベルを用いて歯をゆっくりと脱臼させていきました。
無事に歯を割らずに抜歯した後は、肉芽組織を取り除き、根の周りに破折などのトラブルがないかどうかを確認し、根尖を切断して逆側から感染部分を染め出しました。
側枝と疑わしき形態と青く染まった感染部分を除去し、MTAセメントで逆根管充填を行い、歯を抜いた場所に戻し、固定を行いました。
デンタルX線写真で歯の状態を確認し、問題ないと判断して、その日の治療は終了しました。

 

 

固定確認(術後1週間)

1週間後に固定状況の確認のためにご来院いただいた際には、歯の揺れもほぼなく問題ないと判断し、このまま経過観察を行なっていくことになりました。

 

経過観察(再意図的再植術後1年2ヶ月)

術後3ヶ月の時点で、サイナストラクト(フィステル)は消失しておりました。
6ヶ月の時点で仮歯が装着されていましたが、再再外科の可能性も視野にいれ、術後1年までは仮歯で経過をみることになりました。
術後1年2ヶ月での経過観察では臨床症状もなく、デンタルX線・CT画像上でも問題ないと判断し、被せ物の装着へと移行していただきました。

 

 

術前の病変の状態からの予測の通り、口蓋側の骨の減少に伴い歯茎は下がってしまいましたが、しっかり咬めて、動揺もありません。

患者さんからは「一度抜いて戻した歯だったので、最初は不安でした。抜歯にならずに残せてとても嬉しいです。再度外科手術にチャレンジしてよかったです。」とのお言葉をいただきました。
一度外科手術を受けて短くなってしまった歯ではあったのですが、今回は無事に手術が成功しちゃんと咬めるようになりました。

無事に患者さんの歯を保存することができ、とても嬉しく思います。
引き続き、抜歯したくない・なんとか歯を残したいと願う患者さんのために日々精進してまいります。

※これらすべてのX線写真やCT画像は、歯の保存治療普及のため、患者さんに掲出の同意を得ております。

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